フリーランスは仕事以外にも事務関係も自分で行わなければいけません。しかし、総務・労務、保険の知識を取得する場所はあまりありません。
特に、フリーランスになりたての人やこれからフリーランスを目指す人にとっては、必須の知識です。
今回は
- フリーランスの保険制度
- フリーランスの健康保険制度について
- フリーランスが加入できる国民健康保険組合
- フリーランス協会が提供する保険制度
について解説します。
目次
フリーランスの保険制度
フリーランスになると、様々な事務手続きを自分で行わなければいけません。
その中でも不明な点が多いのが、保険の存在です。会社員だった時は健康保険に加入していた人が多いですが、独立したら自分で保険を選んで加入しなければいけません。
また、フリーランスは常に働き続ける必要があり、病気や怪我などで仕事が途絶えてしまう可能性もあります。
そういったリスク管理のためにも保険に関する知識をつけておくことが必要です。
フリーランスは「国民健康保険」に加入する必要がある
日本は「国民皆保険制度」を採用している国で、国民は必ず何らかの公的医療保険への加入が必要です。
この制度があることで病院で支払う医療費の負担が3割で済んでいます。(高齢者の場合、1割)
しかし、健康保険はいくつか種類があり、会社員とフリーランスで加入する保険の種類が変わります。
フリーランスの場合は、「国民健康保険」と呼ばれる市区町村で運営される公的な健康保険に加入する必要があります。
国民健康保険は個人事業主本人が加入するほかに、家族も加入することが可能です。
保険料は市区町村によって、算出方法や金額が異なるため、正確な金額を出すことができません。
正確な保険料を算出したい人は、自分がお住まいの役所のホームページ等で確認すると良いでしょう。
企業から退職後、独立する場合
独立する前に企業に勤めており、退職してフリーランスになる場合は退職日の翌日から14日以内に所在地の市区町村に届け出を出す必要があります。
もしこの手続きが遅れてしまうと、保険証が手元にない時期ができてしまい、医療費を全額負担しなければいけない可能性も出てくるので、早めに手続きしましょう。
保険の種類の違い
そもそも「保険」と言っても、健康保険以外にも
- 社会保険
- 民間の生命保険
- 就業不可保険
などがあります。これらの保険は公的な保険ではないため、自分自身で加入することが必要です。
フリーランスとして仕事を始めると、社会保険の加入も自分自身で決断します。
社会保険は私たちの生活を保障するもので、万が一の事故などに備えた保険制度です。
代表例でいえば、医療保険や年金保険、介護保険などが社会保険の一部です。
民間の生命保険にも加入できますし、自分でどんな保険に加入するか決定が可能です。
フリーランスとして働いていく上でのリスクを考えて、準備しておくことが必要です。特に怪我や病気で入院・手術で、仕事ができなくなってしまっている時の備えはしておく必要があります。
そこをカバーするような医療保険や就業不能保険・所得補償保険には、加入しておくようにしましょう。
会社員の健康保険を継続することも可能
会社員からフリーランスになった人はもう一つの選択肢があります。それが所属していた企業の健康保険を任意で継続する方法です。
手続きを行えば、会社員時代の健康保険を継続することが可能です。任意なので、自分で国民健康保険と比較して選ぶことができる点も覚えておきましょう。
会社員時代の健康保険を継続するメリットは、扶養家族の保険料を払わなくて済むことです。
配偶者や扶養家族の年収が130万円未満であることが必要条件になりますが、扶養家族がそこまで稼いでおらず、人数が多い場合は健康保険を継続することをオススメします。
また、任意継続すればこれまで加盟していた健康保険組合の福利厚生なども引き続き受けられることができます。
国民健康保険と比較した際にこちらのほうが安い場合もあるため、しっかりと比較した上で保険料保険を選択する必要があります。
会社員時代の健康保険を継続する上での注意点
一方で、注意点も存在します。会社員の時は会社が保険料の半額を負担してくれますが、フリーランスになった場合は全額自己負担になってしまいます。
1日でも保険料の支払いを滞納してしまうと脱退になったり、保険証の取り上げになったりするため、厳しい審査が待っています。
他にも様々な条件があるため、しっかりチェックしておくことをおすすめします。
もし、保険に入らなかったらどうなるのか
そもそも保険に入る必要があるのかと考えた人もいるのではないでしょうか。
保険に入らなくても病院の受診料が高くなるだけでそれ以外のデメリットは無いのではないと思われがちです。
しかし、日本の健康保険の制度は強制型であり、必ず何かしらに保険には加入しなければいけない決まりがあります。
一定期間、滞納を続けていると短期保険証という別の保険証に切り替わり、最悪の場合は保険証の没収や保険給付の手続きの停止という事態になります。
また、支払い能力があるのに対して保険料を支払っていないとなると。財産の差し押さえ等も行われます。
基本的にフリーランスは体が資本です。体調を崩してしまうと仕事に大きな影響与えてしまい、収入が激減するなんていうことも充分あり得ます。万が一に備えて、必ず健康保険には加入しておくようにしましょう
フリーランスが加入できる国民健康保険組合
実はフリーランスが加入できる国民健康保険の他にも、国民健康保険組合に加入するという選択肢があります。
国民健康保険組合の存在はあまり知られていませんが、加入できれば安心して生活することができる組合です。
特定の職業の人が加入できる保険ですが、フリーランスの方でも加入できるので覚えておきましょう。
文芸美術国民健康保険組合
法人化していない文芸、美術及び著作活動に従事する個人事業主のクリエイターが加入できる国民健康保険組合となります。
所得に応じて保険料が変動する国民健康保険に対して、こちらの保険は定額の保険料を納めることになります。
定額というのが1つのポイントとなり、所得に応じた変動する保険料を支払う国民健康保険よりも納める保険料が安くなる可能性はあります。
保険料は組合員の方は月額19,600円、家族の方は月額10,300円となります。
支払い回数も6回、4回、2回、1回とそれぞれの状況に合わせて支払うことが可能です。
文芸美術国民健康保険組合は保険料が安い保険である事は間違いありませんが、加入条件があります。
その条件とは、文美国保加盟団体の会員であるということです。文美国保加盟団体には種類があるので紹介します。
- 東京コピーライターズクラブ
- 社団法人 日本グラフィックデザイナー協会
- VFX-JAPAN
- 日本クラフトデザイン協会 など
メリットとしては定額制で、所得によってはお得に保険料を済ませることができます.。
また、人間ドックなども割引で受けることができるのでオススメです。基本的にこの団体に加入していること自体が1つの実績となるため、賃貸の契約なども有利に進む可能性は高いです。
文芸美術国民健康保険組合のデメリット
逆にデメリットとしてはこの一定の保険料ですが、値上がりする可能性があることです。
2018年度は前年に比べて2400円値上がりした経歴があり、今後の値動き次第では保険料がとても高くかかってしまう可能性もあります。
しっかりと自分の居住区の国民健康保険料と比較した上で、加入するか選ぶようにしましょう。
東京美容国民健康保険組合
東京美容国民健康保険組合はフリーランスや個人事業でやっている美容師の方におすすめな保険組合です。
東京美容国民健康保険組合の場合、
- 事業主組合員は月額10,000円
- 同一世帯の家族一人当たりの月額は9,500円
- 未就学児は6,000円
となります。
この保険組合は従業員が、神奈川、千葉、埼玉、茨城、山梨と決められた区域に居住している人のみが対象となります。
また東京美容国民健康保険組合は関東に限定されていますが、似たような保険組合で大阪や全日本を対象としたものもあります。
サロン経営などを始めるフリーランスの人などにおすすめの保険組合と言えるでしょう。
フリーランス協会に登録する
もう一つフリーランス協会と言う組織組合からフリーランス専用の保険が発表されています。
しかし、フリーランス協会の存在を知っている人はほんの1部ですまずはディーラー協会と呼ばれる組織について解説します。
フリーランス協会とは
「一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリアフリーランス協会」が正式名称の団体です。
人口が増加しているフリーランスの人々を後押しすることを目的に、2017年の1月に設立されました。
どうしてもフリーランスの人々は社会的に信用がないため、認められないものも多いです。
フリーランスの人たちが不遇な思いをしないように、様々なサービスを提供しています。
フリーランス協会が提供する保険の内容
賠償責任保険
フリーランス協会は会員になることで賠償責任保険やその他のサービスを受けることが可能になります。年会費として10,000円払うことで会員になることが可能です。
賠償責任保険とは、フリーランスが業務遂行中に起こった様々なトラブルに対して保証してくれる保険です。
例えば、
- 仕事中に事故にあって怪我をしてしまった
- 作成物が盗用とみなされてしまい、著作権侵害で訴えられてしまった
など、フリーランスに身に起こりやすいトラブルから守ってくれます。
フリーランスはあくまで自分の身は自分で守らなければいけません。しかし、加入できる損害賠償に関する保険は少ないです。
損害賠償で仕事が続けられなくなることもあるので、できればこういった保険にも加入しておきましょう。
福利厚生サービス「WELBOX」
フリーランス協会が自動付帯しているWELBOXという福利厚生のサービスもあります。会員の2親等以内の人が受けることができて、
- 健康診断や人間ドックを安く受けることができる
- 子育て両立支援のサービスとして保育施設やベビーシッター等の優待を受けることができる
など普通にフリーランスをしている状態では受けられない福利厚生を受けることが可能です。
福利厚生とは、縁がないフリーランスにとってはありがたいサービスと言えるでしょう。
また、別途で保険料を支払う必要がありますが、所得補償制度もフリーランス協会は提供しています。
病気や怪我になっても、最長1年間保険金が支払われる仕組みとなっており。入院するタイミングで働けなかった人や怪我で通院することになった際のお金が1年間保証されます。
フリーランスは働かない時間があると、それだけで大きな収入のマイナスとなってしまいます。そんなフリーランスには、ありがたい制度と言えるでしょう。
まだ新しくできたばかりのフリーランス協会ですが、今後の動きにも注目が集まっています。
まとめ
今回はフリーランスの保険について解説しました。フリーランスになると社会保障制度なども、自分で手続きを行ったり、調べたりしなければいけない機会が多いです。
保険に関しても、それぞれ自分で調べて加入する保険を決める必要があります。自分に適した保険を選んで、適切な保険に加入するようにしましょう。
自分の稼いでる状況や条件に合わせて保険を選べるように知識だけを勉強しておきましょう。